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季節(トキ)の硲で…

小さな庭を眺めながら 徒然なるままの独り言…しばしおつきあいいただければ幸いです

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Priez dans le ciel d'été









この夜が明けると
8月6日の朝が訪れる
広島の あの惨劇から
72回目の8月6日


よく晴れた 暑い朝だった と
語り部の女性は語った
それが かの町にとっての
最初の不運だったのかも しれない


蝉時雨の中を
勤労奉仕に出掛けたのだ と
彼女は語った
まだ 16歳の女学生だった と
キツい陽射しの中で
彼女の話を聞いたのは
21歳の夏休み


降るような蝉時雨の中だった


焼け野原で 蝉の声を聞いたのだそうだ
焼け焦げた瓦礫の広がりを
助かった友人達と
茫然と眺めている時


泣くことも出来ず
一体 これからどこへ行けばいいのか
どうすれば家族の安否を知ることが出来るのか
途方に暮れて立ち竦んでいた彼女達は
確かに 蝉の鳴く声を聞いた
最初は幽かに けれど 次第に力強く
蝉が 鳴いたのだそうだ


その声に背中を押されるように
あるいは 導かれるように
彼女達は 歩き出したのだ という


その話を聞いている時
彼女の横顔に踊っていた木洩れ陽
公園の緑蔭は美しく
蝉時雨は波のように寄せては退いた


けれど 静かだった


すべてを焼き尽くした劫火
70年は草木が生えないといわれた放射能
蝉の幼虫が どの程度深い地中で過ごすか
わたしは 知らないけれど
大地は その懐に抱いた小さな虫達を
原子爆弾の炎から守ったのだ
地上にあれば 一瞬で融けてしまったひともある 熱
恐るべきスピードで走った爆風
一瞬のうちに多くの人々が命を落とした あの日


僅か 数十センチの土の下で
蝉が 羽化の時を待ち
焼け野原へと這い出してゆく
その姿を思った時


本当に 大地は命を守り育むものなのだ と
涙が 止まらなかった


原子爆弾投下後の焼け跡で
蝉の声を聞いた という話は
長崎の被爆者の方からも聞いたことがある
小さな虫の生命力の逞しさと
それ以上に 大地の大いなる包容力が
今も 強い印象をもって
わたしの胸の底に残っている


もうすぐ 8月6日の朝を迎える


今年も 亡くなった方々への
心からの哀悼を捧げるとともに
ひととひととが
武器をとって争うことの愚劣や
大地を傷つけ 穢すことの罪を決して忘れず


あやまちを繰り返さないために
自分のなすべきことを探し続ける と
天(ソラ)に 誓おうと思う













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